新小学1年生 2015: 改めて「恋」を調べる
改版が売りじゃない改版
『三省堂 例解小学国語辞典 第六版』を買っちゃいました。無駄遣いは許されない財政状況ですが、無駄遣いじゃないよね? ね?
改版された国語辞典と言えば「最新版はこんなによくなりました! 買ってね!」という売り文句が基本。ところが小学生向けは違うんですよね。常に「新1年生にこの1冊」って感じです。更新する人なんていないんでしょうね。新しい版を買ってしまうことに無駄遣い感が出てきたのでこの話はおしまい。
改めて「恋」を調べる
このブログを始めるに当たって、1冊目に選んだのはベネッセの『チャレンジ小学国語辞典 第五版』でした。その理由は「恋」の語釈でした。
『三省堂 例解小学国語辞典 第五版』は「恋」の語釈がいまいちだったのです。
こい【恋】
[名] [動-する] 異性を特別に好きになる気持ち。恋愛。 [例] 恋をする。 ⇒ れん【恋】
れんあい 【恋愛】
[名] [動-する] 男女が、たがいに相手をこいしく思うこと。恋。
(三省堂 例解小学国語辞典 第五版)
さて、第六版ではどのようになっているか見てみましょう。あ、誌面デザインが凄く変わってる。
こい【恋】
[名][動-する] 異性を特別に好きになる気持ち。恋愛。 [例] 恋をする。 ⇒ れん【恋】1218ページ
(三省堂 例解小学国語辞典 第六版)
一言一句変わってねぇよ! ん? 参照ページ数が付加されたって? それ語釈じゃないから!
れんあい 【恋愛】
[名] [動-する] 男女が、たがいに相手を恋しく思うこと。恋。
(三省堂 例解小学国語辞典 第六版)
「恋愛」の方は僅かにわかっていますね。「こいしく」から「恋しく」になりました。それ語釈に影響ないから!
念のため「異性愛」と「同性愛」も調べましたが、掲載されていません。異性愛が当然であり、恋愛であるという立場ですね。
実は「恋」に変化がないことは見本をめくって知っていたのですが、それでもベネッセではなく三省堂を選びました。理由は価格です。一応気にしたんですよと言うのは表向きで、ベネッセの値上げぶりが気に食わなかったので三省堂にしました。
出版社 | 第五版 | 最新 第六版 |
---|---|---|
ベネッセ | 1,857円(限定カラー 1,857円) | 1,950円(限定カラー 2,000円) |
三省堂 | 1,900円 | 1,900円 |
単純な値上げなら、国語辞典売れないんだろうなと納得できたのですが。限定カラーだけ値上げ幅が大きいのがねぇ。わざわざ毎年作っているのですから、売れているんでしょうねぇ。不祥事で落ち込んでいる進研ゼミ分を埋めようとしていないかい? とまあ、そんな邪推をしてしまったのです。国語辞典で多少なりとも埋められるなら、それはそれで素晴らしいことですが。
いくつか調べ直してみる
「恋」の他にも、このblogで取り上げた単語の更新状況を見てみましょう。
- 「最高」第五版から変わらず
- 「暦日」第五版から変わらず(不掲載)
- 「改版」第五版から変わらず(不掲載)
- 「五月病」第五版から変わらず(不掲載)
- 「後ろ倒し」第五版から変わらず(不掲載)
- 「看護師」第五版から変わらず
変わってませんね。「五月病」は近く掲載されるだろうと見ています。第七版をお楽しみに。
第五版からの変更点
1ページ目「あ」の冒頭における見出し語は第六版で2語追加、削除なし。
- 「アーティスト」
- 「アイエスオー【ISO】」
「ISO」が増えましたか。『チャレンジ小学国語辞典』では第五版に載っていましたが、必要なのかねぇ。『三省堂 例解小学国語辞典』は第五版ですでに「アーム」がありません。「アーム」より「ISO」なのかと首を傾げてしまいます。なお「国際標準化機構」は立項されていません。ちょっと雑、と言うより隣を見て無理矢理入れたのでしょうか。「IOC」と「国際オリンピック委員会」が併存していることから、邦訳を含めない編纂方針ではないようです。
最後の「ん」から見て第六版の1240ページと第五版の1208, 1207ページを比べると、第六版で1語追加、削除なし。
- 「ワンタッチ」
これまでなかったのが意外です。「エッチ、スケッチ、ワンタッチ」って年齢バレるか。17歳だよ。あ、ひょっとして昔は載っていたのかな。ちょっと気になるところ。(買わないよ! 買わないんだからねっ!)
なお、「エッチ、スケッチ、ワンタッチ」の掲載状況。
- 無: エッチ
- 有: スケッチ
- 有: ワンタッチ
「エッチ」は第七版で載ってくるんじゃないかな。アルファベットの8番目の文字として。さすがに性的な話は出てこないでしょう。
戻って「ワンタッチ」の語釈。これがうまい。
ワンタッチ
[名] 〔日本でできた英語ふうの言葉。〕 一度手を触れただけで、簡単に操作できること。 [例] ワンタッチで開く傘。
(三省堂 例解小学国語辞典 第六版)
和製英語に対する嘲笑を感じるのは私だけでしょうか。いいぞ、もっとやれ。
さらに和製英語であることを踏まえて、利用状況に即した語釈になっていることには拍手を贈りたい。
まとめ
今回使った国語辞典
- 作者: 田近洵一
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