もう1人の新小学1年生 2015: こちらも「ワンタッチ」が増える
結局買ってしまったもう1冊
そんなことだろうとは思ってましたよ。前回、自分に言い聞かせるべく丁寧に『三省堂 例解小学国語辞典』のみを更新した理由を書いたのですが。
書いたのがむしろまずかったのか、その日のうちに発注してしまうという体たらく。しばらくアイスはお預けの節約生活ですね。
では早速、嬉々として『チャレンジ小学国語辞典 第六版』の変更点を見ていきましょう。
パッと見てわかる点として、厚くなりました。念のため並べて撮ってみたのですが、やっぱり厚いですよね。見出し語数が33,700語から35,100語になっていることが素直に出ているのでしょう。重さの方は感覚では何とも。むしろ新しい方が軽い気がしてしまうぐらいですから、そう変わらないんでしょうね。
こちらでも調べ直してみる
『三省堂 例解小学国語辞典 第六版』のときと同様に、こちらでも過去に取り上げた単語をいくつか調べてみましょう。
開いてわかる違いは、行送りが若干大きくなっていること。小学生向け国語辞典はルビが多いので、難しいところなのでしょうね。ページ増はこの行送りも影響しているのかも。デザインは変わっていません。
- 「最高」第五版から変わらず
- 「暦日」第五版から変わらず(不掲載)
- 「改版」第五版から変わらず(不掲載)
- 「五月病」第五版から変わらず(不掲載)
- 「後ろ倒し」第五版から変わらず(不掲載)
- 「看護師」第五版から変わらず
三省堂と同じく、第五版から変化ありません。
ついでに「エッチ、スケッチ、ワンタッチ」も調べてみました。
- 無: エッチ
- 有: スケッチ
- 有: ワンタッチ
三省堂と同じです。「ワンタッチ」が第六版で現れたのも同じです。カタカナは新語として入れているのでしょうが、「ワンタッチ」が今加えられる理由は想像もつきません。
ワンタッチ
[名詞] 一回ふれること。また、一回ふれるくらいの簡単な操作で器具・機械などが動くこと。 (例) ワンタッチで開くかさ。 [ことば] 英語をもとに日本で作られたことば。
(チャレンジ小学国語辞典 第六版)
ワンタッチ
[名] 〔日本でできた英語ふうの言葉。〕 一度手を触れただけで、簡単に操作できること。 [例] ワンタッチで開く傘。
(三省堂 例解小学国語辞典 第六版)
三省堂と比べ、比べなくても無難な語釈です。ベネッセでも触れられているよう和製英語ですから、思い切ってよく使う語釈に絞ってもいい気はします。
第五版からの変更点
値上げはさておき。「あ」の最初のページを比べましょう。第六版は15ページ、第五版は13ページです。三省堂と異なり通しノンブルです。私の好みはこちらかな。見出し語は追加1語、削除なし。
- アイエーイーエー【IAEA】
ベネッセはアクロニムの収録が多いように感じます。国語に限らず、あるいは国語でも文学に限らずってことなんでしょうね。「IAEA」はまさにそれ。「iPS細胞」や「IP電話」、「ES細胞」なんてのも増えてます。え? 「IP電話」って今なの? その割には「EC」がEurope CommunitiesだけでElectronic Commerceがないとか、この方面は仕方ないのかな。「ADSL」と「ATM」が並んでいますが、言わなくてもわかりますよね? なお、「STAP細胞」はありません。
最後の「ん」の方を見ましょう。第六版は1,400ページ、第五版は1,340ページ。追加4語、削除なし。
- われるような【割れるような】
- ワンセグ
- ワンタッチ
- ワンダフル
「おいおい、『Di Gi Charat』は15年も前だぜ?」という突っ込みを入れたくなるところを抑えて(ないね)。
「割れるような」があえて加えられたのは興味深いところ。この手の見出し語は小学生向け国語辞典が得意とするところですが...。
われる【割れる】
[動詞]
- こわれる。 (例) コップが割れる。
- いくつかに分かれる。 (例) 意見が二つに割れる。
- かくされていたこが明らかになる。わかる。 (例) 犯人の居場所が割れた。
(漢) ⇒262ページ かつ〔割〕
われるような【割れるような】
- 声や音がとても大きいようす。 (例) 観客から割れるような拍手が起こる。
- 頭などの痛みがひどいようす。 (例) 割れるような頭痛に苦しむ。
(チャレンジ小学国語辞典 第六版)
「割れるような」の意味はもちろん「割れる」を踏みます。しかし、そのことがわからない並べ方と語釈になってしまっています。わざわざ立項するスペースがあるならば、「割れる」の持つ壊れる感覚を掘り下げて書いて欲しいところ。今時の教育が透けるようで残念です。
なお、三省堂は見出し語にはせず、「割れる」の中で扱っています。適当な説明がないのは同じく残念。
われる【割れる】
[動詞]
- 一つのものがいくつかに分かれる。 (例) 意見が二つに割れる。
- こわれる。 (例) 皿が割れる。
- かくしていたことがわかる。 (例) 身もとが割れる。
- 割り算で、割り切れる。
⇒かつ〔割〕207ページ
われるような拍手
大勢の人が大きな音を立てて拍手するようす。
(三省堂 例解小学国語辞典 第六版)
まとめ
- 「ワンタッチ」が流行っているのかも知れない
- このblogで取り上げた範囲では、第五版と第六版に違いはない
もう少し遊んでみようと思ったのですが、意外と長くなってしまったのでここまで。次回に続く。
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